【完】泣き顔スマイル
「……生徒として?」
『もちろん彼氏として』
ードクンー
思わず耳を疑った。
言語は理解出来てるのに
頭が今の流れに追いつかない。
どういうこと?
修ちゃんは美香さんの生徒じゃないってどういうこと?
彼氏って、どういうこと?
『どこ行きたい?
修が行きたいところでいいよ。
あ、でもなるだけ遠くがいいなあ』
落ち着いてはいるけど弾んでもいるその声にどんどん力が抜けていく。
もう、何がなんだか分からなかった。
アップルパイなんて
届けられる空気じゃない。
私はゆっくり階段を下りていった。
『アレどうしたのモモちゃん』
「……」
『モモちゃん?』
「…なんか、今ちょうど勉強が捗ってるときだったから、扉の前で引き返してきちゃった…」
お盆をテーブルに置き直す。