【完】泣き顔スマイル
『そっかあ。じゃあまた後で私が届けるわ。モモちゃんそれまで待ってる?』
「ううん、帰る」
苦笑いで靴を履きに玄関へ向かう。
「あ! じゃちょっと待って!」
後ろからパタパタと慌ただしいスリッパの音がする。
『はいコレ、アップルパイのお礼ね。
モモちゃんウチの梅干し好きでしょ?
あとコレ煮物。良かったら食べて』
「うん」
力なく紙袋を受け取る。
折角葉子ちゃんが持たせてくれたのに、上手く笑顔が浮かばない。
哀しいのかどうかも、分かんない。
子供には、よく分かんないよ。
『またおいでねモモちゃん』
なんでか葉子ちゃんのその言葉に切なくなったこと、今でも覚えている。