「お疲れ、川崎」


練習試合も終わり、二階の観客席から下のフロアに下りる。


そこには疲れてるはずなのに笑顔の彼女がいた。


「応援ありがとね。うちのチーム人数少ないから助かった」


笑った顔がとても可愛くて、さっきとは違った顔つき。


「山崎くんもありがとね」


不意打ちでお礼をいわれ、どもりながらも返答する。


「え?俺のこと知ってんの?」


笑顔でうなずき、続ける。


「野球部の山崎くんでしょ?清水からよく話聞くもん」


もしかして…


そう思って尋ねようとした言葉は、清水によって遮られた。


「こいつも同中だからさ。よくバスで一緒になるんだ」


それを聞いて安心してしまう自分に気付く。


―初めて知った恋心。







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