「そうそう。んでこの公式使うの」


考査前の放課後の図書室。


俺は川崎さんに数学を教えてもらった。


すごく解りやすくて、その辺の教師より教えかたが上手い。


「うーん…これだけやれば平均は行くと思うよ」


下校時刻が近付いた頃、川崎さんはそう言って片付けを始めた。


「ごめんね。俺なんかに教えて自分の勉強できないだろ?俺がいつもちゃんとしとけばよかったんだけど…」


すごく情けなくてそう言うと、彼女は微笑んで言う。


「全然いいよ。山崎くんはいつも野球頑張ってんじゃん!」


自分だって部活してるくせに。


しかもキャプテンでエース。


俺なんかよりもっと大変なはずなのに。













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