大切な人
その時、そっとあたしの前にハンカチが差し出された。





「えっ…」





差し出してくれたのは、広田晃輝だった。





「ど、どうして…」






あたしはとりあえずハンカチを受け取った。







「こっちが言いたいですよ。何なんですか?」





「言えない」




「言ってください」




「言えない!」




「言ってください」





「言えないって言ってるでしょ!!!」






あたしは大声を出して走って逃げた。






なんで知らないあたしにかまうの――――――?






そのままあたしは保健室に向かって、早退することにした。
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