大切な人
次の日、あたしは広田晃輝の机に向かった。
「あの、こ…広田くん」
「はい」
相変わらず冷たい目。
「これ、ハンカチ…」
あたしがハンカチを差し出すと、「あぁ、はい」と言ってハンカチをポケットにしまった。
「それとさ…聞きたいことがあるから、ちょっといい?」
「いいですよ」
あたしは広田晃輝を空き教室に連れてきた。
「で、なんでしょうか」
「あのさ…」
あたしはスカートの裾をギュッと握りしめながら聞いた。
「ハンカチのイニシャル…K.Mだったんだけど……
なんで……Mなの………?」
ついに、聞いてしまった――――――