大切な人
「だから…」
晃輝が悲しそうに言う。
「あなたのことは…覚えてないんです」
「そっか…」
広田晃輝は松田晃輝だった。
それだけでも嬉しい。
でも、覚えてくれていたら―――――
なんて考えてしまうあたしは最低だ。
1番つらいのは晃輝なのに………
「でも、良かったです」
悲しそうにしてるあたしを励ますためか、晃輝は口を開いた。
「えっ?」
どういう意味?
忘れてて良かったってこと?
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