大切な人



「………………晃……輝………?」





なんで……なんであたしのことだけ……





「晃輝っ!?覚えてないの!?彩希は晃輝の…「美佳、いいよ」」





美佳の言葉を途中で遮る。





「でもっ……!!!」






今の晃輝にあたしが彼女だと言っても、何も起こらない。





むしろ、晃輝に無駄な心配をさせてしまうかもしれない――――――――――





自分の気持ちを押しつけすぎると、相手はいつか、押し潰されてしまう………





美佳はあたしの気持ちを察したのか、ぎゅっと口をつぐんだ。





「晃輝」





あたしが晃輝を呼ぶと、うつむいていた晃輝がゆっくりと顔を上げる。





「あたしは晃輝の友達だから、心配しないで。ゆっくり思い出せばいいよ」





嘘だよ、全部。





本当は早く思い出してほしい。







自分で『あたしは晃輝の友達だから』と言ったくせに、自分が1番傷ついてる――――――。







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