大切な人
「えっ……」






翔君が……あたしを?






「彩希には好きな人がいるからダメなんだってわかってた。





でも……そんな笑顔見せられたら俺、諦めきれないよ……」






あたしのこと…そんな風に思ってくれてたの?






「ありがとう……翔君」






あたしが言うと、翔君はさらに抱き締める腕の力を強める。






「まだ、俺のこと好きじゃなくてもいい。

俺が、彩希を好きにさせるから……

だから、付き合ってほしい……」






あたしにはまだ好きになれる自信がない…。






「保留で、いいかな………」






小さくうなずくと、翔君は微笑んで、






「わかった。待ってるよ」






と呟いた。
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