大切な人
「う~ん、どうしよ、急行乗ろっか」






「そうだね!」






あたし達はギリギリ急行に飛び乗った。






乗ったときは空いていたのに、駅に着くたびにどんどん混んでくる。






「彩希……大丈夫?」






あたしの手を握りしめてくれているから大丈夫だけど…






扉が開いた瞬間――――――――






「あっ!!!」






あたしの手からカバンが抜け、反射的に翔君の手を離していた。






「うっ……よいしょ…」






なんとかカバンは取れたものの、翔君が見当たらない。






混んでいるから、首を動かすこともできなくて、ただひたすらうつむいていた。






「吉澤?」






聞き覚えのある声がした――――――――






「晃輝…っ」






目の前には、いつの間にか晃輝がいた………






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