大切な人
「お前、1人?」






「いや……翔君と一緒に来てたん……」






ドンッ






「きゃっ!?」






後ろのおじさんがぶつかってきたので、バランスを崩してしまった。






ぎゅっ






優しく抱き締めてくれる晃輝。






「ごめん……大丈夫?」






そう言う晃輝との距離は1センチもなくて、背伸びすれば唇に届きそうだった。






「こ、うきっ……」






翔君が見てるかもしれないのに……こんなことできない…!






「ごめん……でも今、離せられない」






1度この体勢になってしまっては、次の駅まで体勢を変えられない。






自分がだんだん暑くなってくるのがわかる。





ドクンドクンドクンドクン





鼓動が速くて、晃輝に聞こえそう。









あぁ、やっぱりあたしは…………
















晃輝が、好きなんだ…………











諦めることなんて、できなかったんだ……
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