大切な人
「彩希、大丈夫だった?」
あたし達はなんとか学校最寄りの駅で降りることができた。
けど――――――――
「翔君」
「ん?どうかした?」
あたしが途中で止まったせいで少し前にいる翔君が、ふと足を止めて振り返る。
あたし、今からこんなにカッコいい人ふろうとしてるんだ……
「やっぱり………
あたし、付き合えない」
「……うん」
少しうつむく翔君。
「あたし、どうしても翔君のことが好きになれないの……」
頭を深く下げて謝る。
翔君に期待させておいて裏切るなんて、最低だってわかってる。
でも――――――――――――
「いいよ」