太陽色の僕ら ~貴方のぬくもり~
俺たちは幸せすぎて

何もないまま、何もない日々を過ごしていくとまで思った。


***


月日は流れ、俺は18歳になった。


「ねえ、陸兄ー。

お母さん帰って来るの遅いね」


10歳離れた妹、菜摘(なつみ)が口を開いた。


他の弟や妹も窓を眺めていた。


「きっと晩飯でも買っるんだよ。

良い子にして待っとこうな。」


俺は告げた。

もうすぐ帰って来る、そう思ったから。


「わあ!雪だあ!」


窓の外では大粒の雪が勢いよく降っているのが


目に見えて分かった。


朝日が買い物に出かけてから3時間を過ぎようとしていた。


流石に心配になってきた頃、広い施設の中で


電話の音が響いた。


「はい、もしもし。」


俺はきっと朝日だろうと元気よく受話器をとった。


「もしもし!瀬戸 朝日さんのお宅ですか!?

朝日さんがーー…っ!!」


「…え?」

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