太陽色の僕ら ~貴方のぬくもり~
「よし、行こう。

彩夏が待ってる。」




-思い出す。




「走れば何とかなるだろ。」




-雪が降ると。






菜摘は静かに泣いていた。



俺に見せないように両手で顔を覆って。



静かだけど



これでもかと言うくらい



涙が溢れ落ちていた。



そんな菜摘を荒っぽく撫でた。

けど、言葉は何もかけなかった。






-思い出す。



雪の独特な降り方が
記憶を呼び起こさせる。



目を見開いて恐怖と寒さに震えたあの日を。



泣くことを飲み込んだ喉の痛みを。



施設の皆、

今頃同じことを思って泣いていることだろう。





-……雪は



嫌いだ。










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