太陽色の僕ら ~貴方のぬくもり~
「陸、傘持って来たよ」

急に聞こえた女性の姿に俺たちはビックリして

何も言えなかった。




“陸、菜摘、傘持って来たよ”




おそらく菜摘も俺と同じ幻覚、幻聴が襲っただろう。



そう、



その女性が朝日に見えて仕方なかった。




「陸、

菜摘ちゃん、


どうした?見えてない?」


ふと我にかえるとそこに立っているのは

彩夏だった。



俺も菜摘も同じタイミングで目をこすった。



「可愛い傘売ってたし


雪大量に降ってきたから。」



彩夏は俺たちに傘を差し出しながら

言った。



「うわ!?

なんだこの柄?」



「陸のは落花生柄で

菜摘ちゃんのは鍋柄だよ!

ちなみに私は百目。」



堂々とツッコミところ満載な事を言う彩夏を見て


俺たちの時間が一瞬止まった。


「ふふ、


彩夏ちゃんたら


おかしい」


菜摘は口元を緩ませて笑みを溢した。

この家に帰って来たときから

一度も笑わなかったのに彩夏のバカな発言で




やっと笑った。



それに吊られて俺も笑った。



「え?え…!?

二人とも

何笑ってんの?」



彩夏は頭の上にはてなマークを浮かべて

問いかけた。





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