太陽色の僕ら ~貴方のぬくもり~
菜摘は傘を広げてから
俺たちの前に出て歩き出した。
「陸兄、彩夏ちゃん。
帰ろう
陸兄の言ったこと、分かる気がしたしね。」
“それに朝日が生きていたら、彩夏ちゃん夕飯食べて行きな、って言う気がするんだ。”
「うん、帰ろう」
嫌いな雪の中にいるはずなのに
なぜか
今日の雪は心地が良かった。
***
「じゃあ菜摘、元気でな!」
次に会えるのはいつかな、なんて考えながら
寂しげな表情で菜摘を見た。
「…菜摘、なるべく早く帰って来るから。
またここで暮らせるように」
「-菜摘、
ありがとう…っ!」
嬉しい。
俺の夢が叶いつつあるんだ。
あの家で
あの時と変わらない笑顔で。
「菜摘ちゃん!
帰って来くること、考えてくれてありがとうっ」
パタパタとスリッパで走る音をたてて
彩夏が菜摘にそう言った。
「うん
ばいばい、あやちゃん。」
菜摘がいきなり彩夏の事を
あだ名で呼び、微笑んだ。
そうすると彩夏は顔を緩ませていき、
「ばっばいばい
なっちゃん!」
と、咄嗟に思い付いたであろうあだ名で
別れを告げた。
「良かったな、
彩夏。」
無事仲良くなってくれて良かった、そう思い
彩夏の頭を撫でた。
「ん、
陸も良かったな」
「…ああ、」