太陽色の僕ら ~貴方のぬくもり~
例え暇潰しにしてくれたんだとしても


私は嬉しいよ。


“看病”

なんか





良い響き。



「あのおじさんは?」


「陸だよ」


「いや、別に名前なんて聞いてないんだけど」


「陸は仕事」


「ふーん、」


真広に次に会ったら聞こうと思ってた事を

つい口に出していた。

「叔母さん、どう?」



「…どう、って母さんなら

いつも通りだけど?」


真広は私から視線を逸らしてから腕を組んで

そう言った。


それに吊られて私も目を自分の手にうつした。


「いつも、…通り…か」


やっぱり私の事は


もう…


「彩夏は」


「え」


沈黙の隙間に真広が先程よりも大きい声で

私の名前を呼んで

何かを言いかけた。


「彩夏は遠慮しすぎなんだよ。

家族だろ」



家族、


今そう言った?


なんて思いもよらない言葉に私は混乱して
何度もそう頭で確認した。


私を


家族って言ってくれた。





遠慮はするな、って





何だか


安心しろって


言われてるみたい。


「ありがとう…っ、

家族って言ってくれて…!」


私は涙が溢れだしそうで、

でもカッコ悪いかななんて考えちゃって


顔を赤くしたまま、目を固くぎゅっと閉じて

泣くのを我慢した。




私なんかに

逃げてるばかりの私なんかに




こんな風に言ってくれる人がいる。


私は、私は…っ



「がんばるから、私

がんばるから…!」



「泣き虫なのは変わらないんだね」


真広は薄く笑ってそう言った。






決めた。






「真広、

お願いがある。」




頑張らなくちゃいけないんだ。














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