猫と生きる
「よし、そろそろ行ってくるよ。」
俺は立ち上がり、出掛ける準備を始めた。
「いくってどこへ?」
「雪見さんのところだよ。」
「ふーん。行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
俺は机の上のカギと携帯をポケットに入れ、家を出た。
南さんに教えてもらった雪見さんのいる家はここからあまり遠くはなかった。
もらった住所を頼りにその家を探す。
探していた家はすぐに見つかった。
木造の古い一軒家だった。
表札には神谷とある。
間違いない、ここが南さんの言っていた家だ。
俺は表札の隣にあるインターホンを鳴らした。
「はーい。」
しばらくして、六十代くらいのおばあさんが中から出てきた。
「どなた?」
「神谷絹代さんですか?僕は雪見さんの友人の月元アキハです。今日は雪見さんのお見舞いに来ました。」