猫と生きる
「夏樹ちゃんからどのくらい話を聞いたのかしら?」
「えっと、雪見さんの中には猫がいて、それが雪見さんが目を覚まさない原因になっていることと、その猫を呼ぶためにたくさんの猫が必要って話を聞きました。」
「この子の中の猫は、心を開いてくれないの。何か深い理由があるみたい。」
「あの…猫が入るってどういうことですか?」
「そのままの意味よ。きっとこの日菜子ちゃんは心に傷を負っているのね。そして、その傷口に猫が入り込んでしまった。」
「傷…」
雪見さんが何かを悩んでいたってことだろうか。
俺はずっと一緒に働いていたのに、彼女が何に悩んでいるのか、傷ついているのかに全くわからなかった。
彼女が悩んでいたことすら気がつかなかった。
「彼女を助けるには、その心を癒さなければいけない。だから、たくさんの猫を集めて、この子の中の猫を呼び出して、理由をきくのよ。」
雪見さんがこうなってしまった理由…何なんだろうか。