猫と生きる
猫ははっきりとそう言った。
「あなたは知っている。この子の本当の姿に出会っている。本当に助けたいのなら彼女と向き合って。」
そう言うと、それから猫は何も話さなくなった。
俺が雪見さんの本名を知っている…?
「何て言ってた?」
絹代さんが俺に尋ねた。
「俺には、雪見さんは救えないって…雪見さんは死を望んでるって…」
「そう…それで、あなたはどうするの?」
「え…?」
「それを知った上で、あなたは彼女を助けるの?」
雪見さんは、俺が原因で苦しんでいたらしい。
死を望むほどに。
猫は俺では雪見さんを助けられないと言っていた。
雪見さんの本名も全く覚えがない。
でも…
「助けます。もし俺が雪見さんに何かしてしまったのなら、彼女を助けて謝ります。」