猫と生きる
確信はなかった。
しかし、それしか考えられなかった。
市民会館が見えてきた。
中に入り、案内板を見る。
第3控え室はどうやら二階のようだ。
俺は正面の階段を上がり、二階の第3控え室へ向かった。
「月元さん!」
控え室のドアを開けるなり、南さんが飛び出してきた。
猫耳を着けて、赤を基調とした衣装を着ている。
こういう姿を見ると、やはりアイドルなのだなと思う。
「こら、夏樹!まだメイク終わってないわよ!」
南さんの後ろから色黒の大男が出てきた。
赤いタンクトップが筋肉ではち切れそうなくらいつっていた。
「ごめん、りゅーちゃん。」
りゅーちゃんと呼ばれた大男は頬を膨らます。
「もうっ!」
誰だこの人…
俺のついていけていない状況に気がついたのか、南さんが説明する。
「この人はりゅーちゃん。私の専属のメイクさんです。見た目は厳ついけど、すごくいい人なんです。」
「はじめまして、虎田龍一でーす!」
のりのりで自己紹介をしてくれるメイクさん。
「それじゃあ月元さん、今日はよろしくお願いしますね。雪見さんは隣の部屋にいるので、私がライブをしている間よろしくお願いします!」
そう言うと南さんは虎田さんと一緒に鏡の方へ戻って行った。