猫と生きる




「元気な人ね、ご友人かしら?」


絹代さんは歌いながら部屋を出て行った吉田さんの背中を見ながら言う。


「同じバイト先の先輩です。」


「そうなの。」


「そんなことより、雪見さんは…?」


「少し、苦しそうにしてる。もう限界が近づいてるわ。」


ベッドの中の雪見さんはたしかに呼吸が昨日と比べ荒くなっていた。


「雪見さん…」


「アキハくん、今日の作戦必ず成功させましょう。」


「はい。」


「そろそろ時間だわ。」


南さんの作戦では俺と絹代さんは雪見さんを連れて舞台裏で待機することになっている。


「夏樹ちゃんのマネージャーさんが表に車を出してくれているそうよ。行きましょう。」


俺は雪見さんを車椅子に乗せ、絹代さんと共に市民会館の正面玄関へ向かった。


正面玄関にはすでに黒いワゴン車が止まっていた。


ワゴン車からスーツ姿にショートカットのメガネの女性が降りてくる。


「あなた方が夏樹のご友人ですね。夏樹がお世話になっております。マネージャーの辻井です。」


辻井さんは丁寧に頭を下げ、ワゴン車の後部座席のドアを開ける。


「どうぞこちらへ。」


俺たちはワゴン車に乗り込んだ。













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