猫と生きる
「夏樹から話は伺っております。猫好きの友人が植物状態で、彼女のために歌を聴かせてあげたいと…」
なるほど、表向きにはこういうことになっているのか。
「夏樹がライブに積極的なことは珍しいことです。私も全面的に協力させていただきます。」
辻井さんは運転しながら淡々と言う。
すぐに、俺たちはライブの会場にたどり着いた。
俺たちはステージ裏に通された。
ステージ裏には首から番号札を下げた大量の猫がいた。
「この猫たちは…?」
「今回のライブのお客様からお預かりしている猫たちです。予定ではライブの最後にステージにみんな上がります。猫たちは怪我などしないよう、ライブ中には多くの監視がつき、エサもここで与えています。部屋は猫たちの一番快適に生活できる温度に設定して…」
表情一つ変えず説明を続ける辻井さん。
「もちろん、おもちゃや爪研ぎなども…」
無表情なもののかなり楽しそうだ。
猫が好きなんだろうか。