猫と生きる
「それでは、私は打ち合わせがありますのでここで。」
辻井さんは部屋を出て行った。
「ここからがアキハくんの仕事ね。」
絹代さんに言われ、俺は改めて気を引き締める。
「はい。」
「猫ちゃんたち、協力してくれるといいわね。」
実は、車に乗っている時に辻井さんに気づかれないよう小声で何度も雪見さんの中の猫に話しかけていた。
しかし、あの猫は何も言わなかった。
もう何も喋らない気なのかもしれない。
絹代さんは、たくさんの猫と呼びかければ、寂しがりやのそこ猫は返事をしてくれるかもしれないと言っていた。
ここにいる猫たちに協力してもらうしかない。
俺はその場でしゃがみ、猫たちに語りかけた。