猫と生きる
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「お!アキハだ、アキハだー!」
俺の姿を見た猫たちが口々に叫ぶ。
「エサくれよ!」
「遊べよー!」
「撫でろよ!」
言いたい放題だ。
「わかったよ。」
ここは大型ショッピングセンター内のペットショップの猫たちのショーケースの裏側。
俺の仕事はショーケースの中の猫たちにエサをあげたり、トイレを片付けたりすることだ。
売約済みと紙の貼られたショーケースの猫にエサを与える。
アメリカンショートヘアの猫がエサを与える俺の手に頭を擦り付ける。
「よかったな、飼い主決まって。」
「ありがとう。アキハのおかげよ。」
この猫は生まれてもうすぐ半年になり、つい最近まで売れ残ってしまっていた。
ずっとそれで落ち込んでいたが、この前の日曜日、ようやく飼い主が決まったのだ。
「飼い主さん、優しそうな人でよかったな。」
「そうね。」
アメリカンショートヘアと少し雑談した後、次のショーケースの扉を開ける。
「遅いぞ!」
真っ黒な体に青い目の猫が俺を睨みつける。
「仕方ないだろ。」