猫と生きる




6月29日 雨。




今日は土砂降りの雨。

公園には寄らずに帰るつもりだったが、公園の前を通る時に、あの人の姿を見つけた。


公園の中、傘をさしてベンチの辺りにしゃがみ込んでいた。

何をしているのだろうと見ていると、彼は私に気がつき手を振ってくれた。

私のことを覚えてくれていたらしい。


彼が手招きするので、公園の中に入った。

「見て。」と、彼が足元の何かを指差す。


灰色に青い目をしたきれいな猫だった。


「どうしたの?」と、尋ねる。

「子猫みたいなんだけど、親猫とはぐれちゃったみたいなんだ。」と、彼が答える。


猫はひどく震えていた。

かなり衰弱しているようにも見えた。

かわいそうで、私はその猫を家に連れて行くことにした。

彼の家では猫が飼えないらしく、困っていたようで、私のその申し出を彼はとても喜んでくれた。




その後、彼に名前を教えてもらった。

彼の名前は神谷透というらしい。

私は透さんと別れ、猫を抱いて雨の降る中を帰った。









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