猫と生きる
猫は私に向って飛んできた。
そして、私の中に入ったのだ。
信じられないようだが、確かに私の中に入ったのだ。
すると、身体が急に軽くなり、私は踏切を飛び越え、透さんを抱き、踏切の外へと転がるように脱出した。
後ろから電車が通り過ぎる音がした。
心臓がひどく脈を打っていた。
透さんは無事だった。
そして、なぜ止めたのかと私を責めた。
私は悲しくて、透さんになぜそんなことをしたのかと尋ねた。
透さんは答えてくれた。
透さんがあんなことをした理由、それは敢えてここでは書かないこととする。
私の中に、とどめておくことにする。
透さんは、もう生きたくないと独り言のようにつぶやいた。
私は言った。
「生きてください」と。