猫と生きる
「今日はなんと!イベント広場に人気アイドルのなっつんが来る日なんだよー!!」
このペットショップが入っているショッピングセンターにはイベント広場と呼ばれる小さなステージがある広場がある。
ここにたまに芸能人が来たりするのだ。
なっつんというのは人気アイドル南夏樹の愛称で、吉田さんはこのなっつんの大ファンだったりする。
「幸せだよー、もうすぐなっつんに会えるんだよー」
吉田さんは俺たちの目の前でチケットをひらひらさせる。
整理番号001入場券と書かれていた。
普段はイベント広場でのイベントに入場制限がかかることはないのだが、流石は人気アイドルだ、今回は入場制限がかかっているらしい。
「でも吉田さん、お仕事はどうするんですか?そのチケット…入場5時半になってますけど、吉田さん9時まで仕事ありますよね?」
雪見さんが心配そうに吉田さんに尋ねる。
「大丈夫!年末でただでさえ忙しいのにカメなんか買いにくるやついないって!!それにいざとなったら店長がレジ打つから!」
「えぇ?でも…」
「じゃ、俺はそろそろ行くから!」
吉田さんは空になったコーヒーの紙コップを俺に手渡すとひらひらと手を振りながら休憩室を出て行った。
本当にどうしてあの人は解雇にならないのだろう。