猫と生きる
その後、しばらくは祖母の遺品を整理していたが、結局祖母のことがわかりそうなものは見つからなかった。
諦めて散らかしてしまった祖母の遺品をしまう。
なんだか人のものを勝手に物色しているようで気が引けたので、もう止めることにした。
「ぬーちゃん、帰ろう?」
私はぬーちゃんをキャリーケースの中に入れた。
祖母の家を出ると、家の門の前に人がいるのが見えた。
男女2人だ。
高校生…か、大学生くらいだ。
祖母の知り合いだろうか…あんな若い男女と一体どこで知り合ったのだろう。
祖母の家の鍵を締め、二人の顔がよく見えるところまで行く。
よく見るとあの二人どこかで見たことがある。
どこだっけ。
まぁ、いいや。
私は二人に声をかけた。
「あのー…祖母のお知り合いの方ですか?」
私に気が付いた二人がこちらを見る。
「はい。絹代さんにはお世話になっていて…今日は色々とお礼を言いに…」
男の人がそう説明する。
この人たち、おばあちゃんが亡くなったこと知らないんだ。
少し言いにくかったが、私は二人に祖母が亡くなったことを説明した。
二人は顔を見合わせた。
「あんなに元気だったのに…」
二人はひどく落ち込んでいた。