猫と生きる
本当はこんな予定じゃなかったんだ。
俺はもっと早く家族が見つかるものだと思っていた。
それが周りはみんな売れて行くというのに、俺だけが売れ残り。
店員の少年はすぐ売れるからと毎日のように励ましてくれていたが、その度に俺は悪態をついた。
何がいけないんだろうか。
この真っ黒な体のせいなのか。
みんな俺のことを黒猫と言うが、はっきり言おう、俺はただの黒猫じゃない。
よく見るとグレーと黒のシマシマ模様なのだ。
ちゃんと見て欲しい。
俺の中ではそれが売りなのだから。
しかし、そんな俺にとうとう貰い手が見つかったのだ。