猫と生きる



「?」


声のする方を見ると、雪見さんが唇を震わせ立っていた。


唇だけじゃなく、指先も震えている。


顔も青ざめていた。


「どうしたの?」


「どうしよう…吉田さんが…店長さんが…」


「吉田さんと店長?」


「店長さんがアイドルのステージにいる吉田さんを見つけて…それで…助けにいって…わたし、見てるしか出来なくて…」


よくわからないが、吉田さんのサボリが店長に見つかったという解釈でいいんだろうか。


「とにかく、大変なの…きて!」


雪見さんはかなり動揺しているようだった。


俺は雪見さんに引っ張られるままについて行った。





犬と猫のショーケースの前まで俺を連れてきた雪見さんはステージ広場の方を指差す。


ステージの上にはなっつんと思われる女の子と、黒服に覆面の人物、そしてなぜか吉田さん。


「吉田さん?」


吉田さんは黒服に抱きかかえられているような形でステージにいた。


「吉田さん…あんなところで何してるんだ?」


「吉田さんが…人質に…」


「人質?」


よく見ると黒服は吉田さんをただ抱きかかえているわけではなく、後ろから吉田さんの首元に腕を回し、ナイフを突きつけていた。


「…イベントの一環?」


「違うよ…さっき本当に爆発したもの…。」


爆発…?


さっきの音、本当の爆発音だったのか。


「それに、店長さんも…」


「店長?」


そういえばさっきから店長の姿が見当たらない。


「店長さん…人質に取られた吉田さんを助けようとして…犯人に刺されて…」


「刺された…?」


よく見ると、黒服と吉田さんの隣に黒い塊が落ちている。


よく見るとあれは人だ…。


黒いのはここのペットショップの制服のエプロン…?






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