猫と生きる
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あまりに自然過ぎて、正直幼いころはみんなが俺と同じようなことが出来るものだと思っていた。
それに気がついたのはいつのころだったか、今となってはもう曖昧だけれど、あの時の衝撃は今も鮮明に覚えている。
「あーあ。やってくれたな。」
部屋に散らかったティッシュの残骸を見て、思わずため息が出た。
「うにゃ?」
コタツの布団の中からキジトラの猫が顔を出す。
「こら、のぶ代さん」
のぶ代さんは布団からのそのそと這い出てくると俺の足に自分の頭を擦り付ける。
頭を撫でてやると、「ウケケケケ」と変な声で鳴きながらさらに頭を擦り付ける。
その声を聞いて俺は立ち上がり、のぶ代さんのエサ皿を見る。
空だ。