猫と生きる
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「早くしろアキハ!」
「わかってるよ!」
俺はショーケースの扉を次々と開けていく。
ケースを飛び出して俺の足元に集まる猫たち。
最後に出た黒猫が俺の顔を見上げて言う。
「よし!これでみんな外に出たな!!アキハ、ありがとう。」
裏口から出て行こうとする猫たち。
俺は猫たちを呼び止めた。
「待てよ、お前ら。出してやったんだから俺の言うことも聞けよ。」
黒猫が振り返る。
「ん?」
「お前ら猫軍団は犯人の後ろから近づいて犯人を脅かすだけでいい。そしたら俺が犯人からナイフを奪って吉田さんを助ける。」
「わかった。」
「絶対無茶するなよ。」
俺は裏口の扉を開けた。
「よし、行くぞ…」
裏口から次々と飛び出していく猫たち。
そんな猫たちを見つめ、呆気に取られている雪見さん。
「アキハくん…なにをしているの?」
説明している暇はなかった。
「今から俺たちが犯人の気をそらすから。その間雪見さんは他のお客さんを逃がして。」
「え?わたし…」
「みんな犯人に脅されて動けない状態だ。俺が犯人のナイフを奪う。そしたら雪見さんはお客さんを安全なところへ逃がして。」
「え、でも…危ないよ。アキハくんが…」
「じゃあ行ってくる。」