猫と生きる




威勢良く飛び出して行ったのはいいが、これといった具体策は考えておらず、はっきり言って無謀だった。


俺たちは今、ステージの近くまで来ていた。


「こっからは俺たちだけでいく。俺たちが犯人の気をそらすからその間にアキハは吉田を助けろ。」


「わかった。」


自信はない。


こんなことしたこともない。


当たり前か、そう何度もこんな経験が人生にあるようでは困る。


「俺たちは行ってくるぞ!」


黒猫が音を立てずに駆け出す。


その後を追う他の猫たち。


俺は猫たちの後ろ姿を見送りながら時を待った。





「うわっ!なんだこいつら!!」


犯人の悲鳴が聞こえる。


今だ。





俺は犯人に近づき、犯人が背後の猫に気を取られている隙に犯人めがけて飛びかかった。


犯人が吉田さんから手を離す。


すかさず吉田さんを突き飛ばす。


「あ…アキハくん!」


「吉田さん逃げて!それから救急車呼んでください!店長が…」


「わ、わかった!」





ナイフを持つ犯人の手首を掴むと、犯人はナイフを落とした。


やった…これで…


俺は落ちたナイフをすぐに遠くへ蹴り飛ばす。


「離せ!!」


暴れる犯人。


幸い、犯人は俺より小柄で力も俺の方が上だったので押さえつけることができた。




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