猫と生きる
玄関の扉を閉めた私は、すぐに自分の部屋に駆け込み、ベッドに横になりました。
なにも言えなかった。
あの男の子に、変な子だって思われたに違いない。
悲しくなりました。
話せて嬉しいと思う反面、ちゃんと話せなかった自分に悲しくなりました。
私はベッドで仰向けになりながら考えました。
今度会ったらちゃんと話そう。
何を話すのか、今から考えておこう。
あの男の子、名前はわからないけど苗字は付いていた名札でわかった。
今度、名前も聞いてみよう。
それで、私の名前も知ってもらおう。
なんだか、心が満たされたようでした。
今まで、繰り返されていただけの日常が意味を持ったような気がしました。
その日は幸せな気持ちで眠りにつきました。