猫と生きる
どうしよう。
男の子はどんどん私に近づいて来ます。
そしてとうとう私の目の前に来ました。
「こんにちは。」
男の子は笑顔で私に言いました。
「こ、こんにちは…」
そう返すのがやっとでした。
昨日の夜、何を話すのかあんなにもたくさん考えたのに、いざ本人を目の前にすると、話すことが出てきません。
なんとも情けない話です。
「名前、なんていうの?」
男の子が私に訪ねました。
「…露木…冬。」
私はぎこちなく答えます。
「冬ちゃんか、僕はね…」
男の子が名前を教えてくれました。
天にも昇る気分です。
私と男の子は、なんでもない話をしました。
学校の話、今日の天気の話、最近寒くなったねだとか、そんな話です。