猫と生きる
けれど、そんなに都合もよく助けが来る訳がありません。
扉の方から何かが壊れる音がしました。
おそらく、鍵の部分が壊れたのでしょう。
ドアノブがゆっくりと動きます。
終わったんだ。
そう思いました。
扉が開きます。
私は目を閉じました。
私は助からない。
「みゃー。」
「…?」
私の隣にあの灰色のねこがいました。
窓も閉まっているのにどこから入ってきたのでしょうか。
それに、こんな危ないところへ来て…運のないねこです。
「にー…」
ねこは私の目を何か言いたげに見つめています。
『生きて』
と言っているように見えました。
男の子の顔が浮かびました。
まだ間に合うでしょうか。
「冬、お母さんと一緒に行こう。」
お母さんが部屋に入って来ました。
私は覚悟を決めました。
死ぬ覚悟ではありません。
生きる覚悟です。
私は窓を開けました。
どうせ死ぬかもしれないなら、私は生きる可能性がある方へかける。
窓の縁に足を掛け、私は窓から外へ飛び降りました。
不思議ですが、全く怖くはありませんでした。