猫と生きる
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私は決めました。
戦うことを。
自分を守るため、彼を守るため、私の家族を守るため、楽しかった日常を取り戻すため。
私はあの男の子の家の前まで来ていました。
玄関から入るのは当然無理です。
と、なると他に入る経路としては窓ですが…ちょうど二階の窓が開いています。
あそこから入ることにしました。
私は近くの電柱に登り、家のベランダに飛びました。
やっぱり体が軽い気がします。
普段の私ならこんな高さから飛び移るなんて不可能なのに。
まぁ、そんなことは今はどうでもいいことです。
私は開いている窓から家の中へ入りました。
どうやらこの部屋は寝室のようです。
男の子のお母さんはどこにいるのでしょうか。
私は寝室を出て、階段から下に降りました。
人の気配がしたからです。
リビングに人影があります。
体格や髪の長さからして女の人でしょう。
おそらく、あれが男の子のお母さん。
私はリビングの引き戸を少し開けて、中の様子を伺いました。
そして私は見てしまいました。
「……!」
お母さんは肩を上下させ、息を切らせています。
そのお母さんの手は真っ赤で、足元には男の人が倒れていました。
お腹に包丁が刺さった状態で…
「あなたが悪いのよ」
お母さんはなにやらぶつぶつと呟いています。
怖い。
でも、これは私にとってチャンスかもしれません。
私は思い切って引き戸を開けました。
「誰?」
男の子のお母さんが振り向きます。
顔にもたくさん赤い点が飛んでいました。
私は倒れている男の人の方へ走り出しました。