猫と生きる
もう本当についていない。
アイドルってこうも不幸なのだろうか。
とうとう命さえも危険にさらされる。
「待てよ。」
ステージの下から声がした。
「なっつんを人質にするなら俺を代わりに人質にしろ!!」
ファンの一人だろう、命を投げ出すようなことして、熱狂的なやつもいるもんだ。
それとも死にたいのかな。
黒服の男は最初は戸惑っていたが、客の男がステージに上がってきてしまったので私を仕方なく解放した。
「なっつんには指一本触れさせないぞー!」
アホなファンは犯人を睨みつける。
…こいつ、誰かと思えば吉田直也じゃない。
どこまでアホなのこいつ。
死ぬかもしれないのに。