猫と生きる
突然、覆面男の様子がおかしくなった。
「なんだこの猫は!」
覆面男の頭に黒猫がしがみついていた。
その足元ではたくさんの猫が覆面男の足に噛み付いている。
どうして猫がこんなに…?
覆面男は完全に猫に気をとられていた。
すると、ステージに少年が登ってきた。
吉田直也や男性と同じ黒いエプロンをした、ごく普通の見た目の少年。
彼は覆面男のナイフを持つ手を掴み、覆面男から吉田直也を引き離した。
なんなの、この人は。
「あの、ここは危険なので逃げましょう。」
ステージの下から女の子の声がしたので、そちらの方を見ると、黒髪の前髪を眉上で切りそろえた、色白の女の子が私を手招きしていた。
「早く…」
女の子に腕を引っ張られ、私はステージを降りた。
女の子もさっきの少年と同じ黒いエプロンをしていた。
女の子は私をステージから離れたところに引っ張ると、またステージの方へ戻っていこうとする。
「ちょっと、どこへ行くの?!」
「助けないと。」
「え…?」
「私が守らなきゃ。」
そう言って彼女はステージの方へ走り出した。
軽やかに、まるで猫のように走り出した。
そしてその直後、大爆発が起きた。