猫と生きる
私の前には綺麗とは言い難いが、汚くも古くもない二階建てのアパートがあった。
こんなところに住んでいるのか。
彼には事前に連絡し、今日家を訪ねることは伝えてある。
私はアパートの階段を上がり、角部屋のインターホンを鳴らした。
「はーい。」
すぐに中から少年が現れた。
覆面男に飛び掛かっていったとは思えない平凡な顔。
…ちょっと失礼か。
でも、細いし、身長も175くらいだし、よくあの中に飛び込んでいったなと思う。
「南さんだね、ごめん俺の家テレビみないからアイドルとか詳しくなくてさ。えと、とりあえずあがって。」
人が好さそうとはこういうのを指すんだろうな。
彼からはそんな雰囲気が出ている。
「お邪魔します。」
私は中に入った。
初めて男の人の一人暮らしの部屋に入ったわけだが、意外にきれいだった。
もっと汚いものを想像していたから驚いた。
でも、綺麗と言うよりは生活感がないに近い部屋という印象を受けた。