猫と生きる
すると、玄関の扉が開き、中から小柄なおばあちゃんが顔を出した。
まずい、不審者だと思われたらどうしよう。
おばあちゃんは私に頭を下げながらこんにちはと言った。
どうやら警戒はされていないらしい。
「こんにちは…え、と私…怪しい者じゃなくて…この猫たちに…」
猫たちに連れて来られたなんて言っても余計に怪しいか。
なんて言えばわかってもらえるかな。
「いいのよ、わかってるから。」
おばあちゃんは笑顔で猫を抱きかかえ、自分の額に猫の額を当てた。
「あなた、この猫たちにここに連れてこられたのね。」
「へ…?あ、はい。」
なんでわかったんだろう。
おばあちゃんは足元に群がる猫を次々と抱き上げ、自分の額を猫の額に当てる。
「そう、わかったわ。」
おばあちゃんは静かにそう言った。
何がわかったんだろうか。
おばあちゃんは猫を下ろすと私の方へ向き直った。
「入りなさい。」