猫と生きる
俺は黙るしかなかった。
「他人の携帯覗くとか最低だよ、もう別れよう。」
こうしてあっという間に俺の初恋は終わってしまったのだった。
その後なんだか納得いかないまま家に帰った。
俺はこの日をきっかけに自分が他の人とどうやら違うらしいことを知った。
そして高校三年生になる今まで、俺は自分のこのおかしな部分を隠して生きてきた。
インターネットで調べたこともあったが、当然そんな人など他になく、解決策も見つからず、誰にも相談できずここまできてしまった。
最初は悩んだが、隠しておけば普通の人と変わりなく生活できるので最近では特に気にしていない。
智子とはあれから何度も話しかけようとしたが、その度に避けられ全く会話をしていない。
あとから噂で聞いた話だが、智子が俺と付き合っていたのはお金が目当てだったらしい。
早くに両親を亡くした俺は、膨大な遺産を継いでいた。
それが目当てだったとのことだ。
俺は必要最低限しか両親の遺産に手を付けず、生活費や智子へのプレゼント代、デートの費用などは全て自分のバイト代から出していた。
そのため智子に贅沢はさせてあげられなかった。
智子には申し訳ない。