猫と生きる
月元さんは黙って私の話を聞いていた。
覚悟はしていた。
笑い飛ばされるかもしれないし、変な人だと思われるかもしれない、馬鹿にするなと怒られるかもしれない。
それでも、私はこの信じられないような本当の話を彼に話した。
「そうか…」
月元さんが口を開く。
「俺にも協力させて。」
「え…?」
彼はあっさりとそう言った。
「あの、信じてくれるんですか?」
「うん。」
月元さんは頷く。
「こんな嘘みたいな話、本当に信じてくれるんですか?」
「信じるよ。」
「どうして…」
「どうしてって…まぁ、南さんには言っていいかな。俺と同じような感じだし。」
月元さんは話し始めた。
「俺は、猫の言葉がわかるんだよ。」
「猫の言葉がわかる?」
バイリンガル…?
逆に彼の言葉の方が信じられなかった。
「信じられないみたいな顔してるな。」
「え、いや!」
「じゃあさ、俺に見えないようにして何かをのぶ代さんに見せてよ。それで俺はのぶ代さんからその何かを聞いて当てるからさ。」
「…わかりました。」
「じゃあ俺はこっち向いてるから。」
月元さんは私とのぶ代さんに背を向けた。