掻きむしった心臓。


柵のむこうの世界は、今日も当たり前にフツーの1日をおくっている。


「頭の出来がよくてさ。小さい頃から何やらしても人並み以上にこなしてた。そんな兄貴に親はベタ惚れ。ピアノ、水泳、そろばん、習字……とりあえず習い事と呼べるものは一通り手をつけてた。俺も兄貴のついでって感じでやったんだけど“天才”の横で“凡人”が必死でやっても追いつかないわけ」



ぽつりぽつり、あらかじめ用意された台本を読んでいるかのように話す。


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