捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「あ、あ、あのっ……惣介、さんっ?」

「……」


私の呼びかけに、惣介さんは何も答えてくれない。

身体を少しよじってみても、離してくれる気配もない。

……どうしよう……、心臓壊れる……っ!

どくどくと全身から響く鼓動と、熱くなってしまった全身から出る汗に不安になる。


「気付きました……よね?」

「えっ!?なっ、何がですかっ?」

「……もちろん……」


ふぅと息をつくのが耳に入ってきた時、すっと惣介さんが私の身体を解放した。

でも、惣介さんの手は私の肩に触れていて。

全身が熱いのに、そこはもっともっと熱く感じた。


「……香りです」

「えっ!?」

「使ってくれてるんでしょう?洗剤と柔軟剤。琴音さんからその香りがするから」

「えっ!あっ、つっ、使ってます!」


突然出てきた“洗剤”“柔軟剤”という言葉に、ドキドキしてしまった自分をバカだと思った。

惣介さんは香りを確認していただけなんだ、と。

するりと惣介さんの手が私から離れた。

 
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