捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
完全にその無限ループに陥ってしまった私は、ただ、焦るばかりだった。
それをやっぱり惣介さんは気付いていたようで、心配そうな表情をして、私に声を掛けてきた。
「……体調でも悪いんですか?それとも何か心配事でもありますか?何か……、今日は心ここにあらず、って感じがしますよ?」
私の心を読むように、惣介さんが真っ直ぐと私の目を見てくる。
その目から逃れるように私はぱっと目を反らして、手を横にぶんぶんと振って、慌てて否定する。
「!!そっ、そんなこと、ないですよ!?普通です!至って普通ですからっ!!!」
「……そうですか……わかりました」
惣介さんは諦めたようにふぅと息をついた。
そっと惣介さんのことを見ると、優しく笑いかけてくれた。
何とか誤魔化せたかな、と私も頑張って笑顔を作った。
……でも、この日のデートはずっとこんな調子で、もう散々だった。
話し掛けられるたびに避けるような変な態度を取ってしまって。
私のせいで惣介さんは楽しめなかったんじゃないかって思うと、自分が嫌でたまらなくてもどかしくて。
相手のことを思いやれなくて自分にいっぱいいっぱいだなんて、初めて恋愛をしている子供みたいだ。
……落ち込みまくった私は、家に帰ってから一人、クッションに顔を埋めて泣いた。