捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 
***


「……え?」

『頷けませんか?結婚と恋愛が全くの別物だって』

「……ま、まぁ、わからなくはないですけど……」

『この年になれば友達の中に失敗するやつも出てくるんですよね。そいつが“結婚と恋愛は別物だよな”ってしみじみとぼやいていて、あーなるほど、って思って』

「……」


ある水曜日の電話。

この日は何だか話が変な方向に向かっていた。

恋愛と結婚と離婚の話……なんて。

惣介さんがどんな意味をもってそんな話をし始めたかはわからないけど……。


『……難しいですよね。全く一緒か、結婚は結婚、恋愛は恋愛、と割り切れれば楽なのに、って思います』

「……そう、ですね」

『……やっぱり傷付くとか考えると……恋愛と結婚は絡まない方がいいんですかね』

「!」


惣介さんはそうなの?

これって……もしかして、線引かれてる?

“恋愛は全くなしで結婚した方が楽だ”って。


『恋愛なんて、確実に面倒なのは間違いないですし』

「……」


やっぱりそうなんだ……。

ってことは……惣介さんは私と恋愛をする気はないってことで……

じゃあ、“マーキング”なんて言ってたのも、ただ結婚する相手が他のところに行かないようにするためってこと?

離婚するのも面倒だしって……。

惣介さんの言葉をいいように捉えて、勝手に浮かれてた私が悪いのかもしれないけど……

ショックだ……。

まさか、こんな風に惣介さんの本音を知ることになるなんて。

 
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