捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「さむ……っ」
外に出た途端冷たい空気に包まれて、私は思わず顔をマフラーに埋めてしまう。
もう季節はすっかり冬になってしまって、夜はコートやマフラーがないと過ごせないくらいかなり寒い。
気温もきっと一桁くらいしかないだろう。
……っていうか、ここはどこなんだろう?
近くには街灯もなくて、車の車内灯でようやく車の周りが見える程度で、他はほとんど何も見えない。
先に外に出て行った惣介さんの姿を探すと、暗闇の中に浮かぶシルエットは一つだけだった。
あまりの暗さに少し怖くて、車伝いにそろそろと惣介さんに近付く。
たどり着いて惣介さんのことを見ると、惣介さんは上を見上げているようだった。
不思議に思って、声を掛ける。
「惣介さん?あの、ここって」
「……琴音さん。ほら、すごく綺麗ですよ。上を見てみてください」
「……え?何か、上にあるんですか?」
私は惣介さんと同じように上を見上げると、そこには。
「わ……っ!すごい……!」
今まで見たことのないくらいの無数の星が瞬いている。
まさに降ってきそうなくらいのたくさんの星。
星を見るのは好きだけど、いつも自宅マンションから見るくらいで、こんなにたくさんの星空は見たことがない。
キラキラと瞬く光がたくさんありすぎて、どれが何の星座だかわからないくらいだ。