捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
「今日は月は出てないし空気も澄んでるから、すごくたくさん見えますね」
「ほんとにすごいです……!こんなにたくさんの星、今まで見たことないです!すごい!」
「はい」
「こんなにたくさんあると、流れ星も見失いそうですよね!あっ、あれってオリオン座ですよね!星雲も綺麗に見える!プレアデス星団もあんなに!」
ついテンションが上がってしまって、私はあれこれと知っている星座や星の名前を言っていく。
そんな私の言葉に惣介さんは優しい声で相槌をくれる。
「……良かった。喜んでもらえたようで」
「はい!すごいですもん!もう、すごい!って言葉しか出てこないくらいすごいです!!」
「……そうですね」
これだけの星が輝いていると、宇宙の壮大さを目の当たりにするようで、自分のちっぽけさをひしひしと感じてしまう。
普段でさえ星を見上げると、自分のちっぽけさを痛感するのに。
「……星って昔から好きで、落ち込んだ時にはいつも空を見上げるようにしてたんです。星を見てると自分がちっぽけに感じて。悩みなんて、もっとちっぽけで。こーんな広い宇宙のちっぽけな私のちっぽけな悩みなんて大したことないんだ、って思えるんですよね。すごく単純な考えですけど」
「……はい」
「ほんと、ちっぽけ、なんですよね……人間なんて」
「……」
「なのに……、何でこんなに悩むんでしょうね?」
はぁ、と吐き出した息はたぶん白いんだと思うけど、暗くて私の目には写らない。
こんなに暗いと強い孤独を感じてしまう。
宇宙に一人取り残されてしまったような。